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「遺言書は敷居が高くて……という方に。エンディングノートはいかが?」

エンディングノートとは

遺言書さえあれば遺産分割の際、遺産がどこにどれだけあって、それをどう分けるかについて遺族が思い悩むことが格段に少なくなることはこれまで述べてきた通り。

しかし、単刀直入に切り出すか迂遠な交渉をするかにかかわらず、遺言書を書いてほしいという要求を相手に伝えるのは、やはりはばかられるという人は少なくないだろう。

実際、親に遺言書を書いてもらう一般的な方法を紹介してはいるが、物事教本通りにはいかないもので、語りに自信の無い方や普段親とあまりコミュニケーションしない人にとって、「遺言書を書いてほしい」と頼むのは難儀な仕事だ。

 

そこで、遺言書と違い法的な効力はないものの、より気軽に作成を頼めるツールがある。それが昨今流行りのエンディングノートだ。

これは規模の大きな書店に行けば購入できるが、インターネットで検索すれば無料でダウンロードできる。

 

さて、入手したとして何を書くか。

一般的なエンディングノートには次の項目を記入する欄がある。

 

・基本情報(氏名、生年月日など)

・自分史(生い立ちから学歴、職歴など)

・親戚、友人、知人リスト

・自分の財産や加入している保険、年金について

・介護や告知、延命治療についての意思

・葬儀(費用や開催場所、規模など)及び墓地について

・加入しているサービスなど

・形見分け(遺品)リスト

・遺言書の有無

・大切な人へのメッセージ

 

 

三つの効用

こうした情報があると、相続人にとってはどうありがたいのか。

第一に、死後どうすればよいのかの道しるべとなる。

既に相続を経験されたことのある方ならご存じとは思うが、相続の現場はドラマほど凄絶でなくてもあわただしいのは確かだ。役所に死亡届を出すことから始まって、喪主の決定、葬儀社の手配、葬儀の実施と葬祭にかかる儀式や手続きを終えたと思ったら今度は遺産分割に取り掛からなくてはならない。

どれだけの遺産をどう分けるのか、相続放棄するのかといったことを決めなくてはならない。

また、遺産を分けるときは多かれ少なかれもめることも覚悟した方がよいだろう。

遺産分割がひと段落したと思ったら、次は不動産の相続登記、その他名義変更や各種契約内容の変更が待っている。

こんな時、何も準備が無ければ遺族は相続というはじめての体験で何から手を付けてよいのか分からないまま、忙殺されることになる。

さらに、時間が無いからと焦っていたずらに専門家の力を借りたり、何も分からないからと葬儀社の勧めるままに高額な葬儀を行ったりした場合、せっかくの財産を削ることになってしまう。

だが、エンディングノートに、葬儀はどの程度の規模で行い、どの程度の遺産をどう分けてほしいかなどと意思表示がなされていれば残された人たちの負担は軽減される。

それに、たとえノートの記述どおりでなくとも、遺志を最大限尊重しつつ遺産分割すれば遺族間で論争となる可能性は少なくなるだろう。

 

次に、見落としてはならないのは本人が傷病などで意思決定の困難な状況に陥ったときどうすべきかについて、遺志を確認できる点だ。

特に植物状態などで回復が見込まれない場合、そのまま生きてもらうのがよいのか、本人はそれを望んでいないのか、と思い悩む家族はいる。

その際、もはや意思疎通ができない本人が、まだ元気だったときに残した意思表示が極めて重要な判断材料となることは間違いない。

こうしてエンディングノートは、家族の精神的負担をも軽くしてくれる。

 

最後に、エンディングノートは使い方次第では遺言書とほぼ同じ内容を伝えることができ、しかも遺言書ほどハードルが高くないのが強みだ。

「遺言書は法的拘束力があって確実なのだから、初めからそちらを書いてもらえばよいではないか」と思われるかもしれないが、よしんば書いてもらえたとしても、書式や記載内容に不備があり、正式な遺言書として認められなかったというケースには事欠かない。

他方、エンディングノートならもともと正式な遺言として認められないうえ体裁は自由なので、本人にとっても心理的負担は軽い。

作成を頼む方も、「最近流行っている、自分の人生を振り返るというノートを買ってみたのだけれど、使ってみたらよいのでないか」などと、プレゼント代わりに渡すことも可能だ。

 

以上みてきたように、エンディングノートは本人・家族葬法にとって遺言書よりも気持ちが楽に取り組めて、そのうえ効果は遺言書に優るとも劣らない。

「まだ元気な親に死んだ後のことを考えろとは縁起の悪い……」とためらわれるかもしれないが、まさかの坂はどこで我々を待ち構えているかわからない。

退職祝いのプレゼントの一つ、あるいは長寿のお祝いの一環といった格好で、このノートを手渡されてはいかがだろうか。