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「大塚家具の騒動――株式譲渡が争点、だけど…(後篇)」

TKG

前回のあらすじ…後継者の座を巡る大塚家具での親子争いの原因は、株式の処理にあったとされる)
しかし、真に問われるべきは、結果として株がどう配分されたのかというより、むしろ当事者はそれぞれどのような譲渡を企図していたのか、コンセンサスはとれていたのかということではないか。
今回の騒動を子細に調べてゆくと、親子の間には意見の祖語があったことがうかがわれる。
特に、親子の次の応酬は興味深い。勝久氏が娘は聞く耳持たないと不満をこぼす一方、久美子氏は自分の考えは繰り返し説明してきたのに、理解してもらえないのは残念だと発言しているのだ。

ここに、問題の根源が潜んでいるように思われる。
勝久氏と久美子氏の間には、経営方針の違いをはじめ、意見の対立が目立つ。
それを埋めるとともに、株式譲渡にかかる社債の処理を含め、事業承継のコストをどう分けるかについて合意を図るという努力が、両者には十分ではなかったことも今回の対立を招いた一因ではないか。

後継者の選定には、こうすればよいという定石はなく、企業の状況や後継者と先任者の意思、今後の動向など複数の要素を勘案し、総合的に判断するしかない。
だが、企業の存続を願うのであれば、現経営者と後継者は見解を明示し、互いに納得し合うことはもちろん、従業員の意見も聞きつつ理解を得ることが不可欠だ。
組織の命運にかかわる人間が、完全な同意は難しくても意見を衝突させつつ研磨させ、すり合わせながらある程度の一致をみなければその組織は立ち行かなくなる。
したがって、事業承継を考える際には、会社の資産をどう処理するかを問うほかに、そもそも当事者はどう考えているのかを伝えあうという作業も決しておろそかにしてはならない。

これまで繰り返し述べてきたように、通常の相続がもめる最大の原因のひとつは、財産が分けにくいことや財産額が少ないことのほかに、遺族間のコミュニケーションが不十分なことがある。
事業継承についてもそれが言える。
相続する側とされる側、そして事業を継承する側もされる側も人間である以上、意見の対立は避けられない。
それを解消するために歩み寄りをしなくては、円満な相続は望みえない。
参考記事:「大塚家具の騒動――株式譲渡が争点、だけど…(前篇)」