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2015.03.15
 

「後継者選びはお早めに。でも、あせりは禁物(後篇)」

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前回、事業承継は早めに行った方がよいが、しかし焦ってはならないことを述べた。
では、具体的に誰に、どう後を継がせるべきか。
他の記事で述べたことに、新たな情報を加味しつつ説明する。

事業承継のパターンで最も一般的なのは親族内継承だ。
この場合、ポピュラーなだけあって社内外から順当な決定として受け入れやすく、また受け継ぐ本人の意思が早くから固まっていれば、早期に教育を開始することもできる(学生時代からアルバイトで下積みをさせる、等)。
さらに、M&Aなど社外から代表を抜擢する場合と異なり、企業内の身で共有したい情報を固守することができる。
そのため、たとえば老舗の料理屋がどうしても自分の店のレシピをもらしたくない、という場合、親族内継承は有効な手段だ。
反面、候補者が意欲的でなかったり不適格であったりした場合、別の候補を探す必要が生じるほか、親族が複数いる場合、一人が大きな財産を受け継ぐことになるため、財産分割の公平を期すのが困難になりうる。

一方、次の選択肢として考えられるのが社内に候補者を募るという手だ。
これなら親族内よりも選択肢の幅は広がるし、適任と思われる人物は、一般にその社での経験が深く、業務に精通しているため引き継ぎはスムーズに行われるだろう。
ただし、経営権を引き継ぐとは、ただ権利が移動することを意味するのでなく、社の財産、そして負債すら引き継ぐことにもなる。
そこで、後継者は自社株を買い取る資金があるのか、前経営者の債務を引き受けてくれるのかという懸念が生じる。

最後に、わが国ではまだ定着していないが、社外から次期代表を引き抜くのがM&Aだ。
こうすると前経営者は会社を売却することになるため収益を得ることができ、社内選出よりもさらに選択肢は拡大するため、真に適格と思われえる人材を、複数の候補から選ぶことができる。
しかし、前経営者の社員にとっては労働条件が変わることになることが多く、そもそも彼らの雇用が維持されるかどうかは売り手と買い手の交渉次第になってしまう。
また、自社株をはじめとする社の財産が期待通りの額で売れるとは限らず、売却に当たって費やした投資額が売却額を上回れば、当然売り手は損することになる。

ここにあげた三つの方法のメリット・デメリットを比較検討しながら、現社長には後継ぎをじっくりと見極めてほしい。