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2015.04.28
 

「親子バトルはなぜ起きた?――加熱する大塚家具のお家騒動(後篇)」

親子丼

既に述べたように、内紛の原因の一つはビジネスモデルの違いだが、自社株の扱いというのも要因として指摘されている。

2007年の社員によるインサイダー取引事件の後、当時社長だった勝久氏は事業承継を本かう的に検討し始め、そこで久美子氏は自分が継ぐことを前提に、持ち株を子供に移しておいてはどうかと提案した。
父は合意し、自分が持っていた資産管理会社の株式を子供に二割弱ずつ、妻に約一割を配分する。
次いで資産管理会社に自社株の一部を買い取らせたのだが、その際買い手が資金不足により社債を発行し、勝久氏が引き受けた。
自社株を売り、その代金を自分で引き受けた格好だ。
さて、彼はこの社債の償還を娘に求めたが、後者の言い分では、株式の買い取りはそもそも事業承継を目的としたスキームであって、償却期間が来たら再契約することが前提だったとのことで、償却を拒んだ。
そこで勝久氏は久美子氏を訴え、持ち株譲渡を打ち切ったのだ。
このもめごとが此度の反目を招いたという意見も有力だ。
だが、問題はそれだけにとどまらないのではないか。

今回の騒動を子細に調べてゆくと、親子の間には意見の食い違いがあり、それを埋めよう十分に議論を重ねてこなかったことがわかる。
特に、親子の次の応酬は興味深い。勝久氏が娘は聞く耳持たないと不満をこぼす一方、久美子氏は自分の考えは繰り返し説明してきたのに、理解してもらえないのは残念だと発言しているのだ。

ここに、問題の根源が潜んでいるように思われる。
勝久氏と久美子氏の間には、経営方針の違いをはじめ、意見の対立が目立つ。
もちろん、先代経営者と後継者の間にビジネスモデルの相違があるというのは、どの企業でも珍しい話ではない。
しかし、そうなった場合、意見の異なる者同士が話し合い、折れ合うなどして方向性を合わせることが両者の責務だ。
これを怠ってしまえば企業は内部分裂することになり、コンセンサスをとることなどできなくなってしまう。
意見の対立を解消するとともに、株式譲渡にかかる社債の処理を含め、事業承継のコストをどう分けるかについて合意を図るという努力が、両者には十分ではなかったことも今回の対立を招いた一因ではないか。

後継者の選定には、こうすればよいという定石はなく、企業の状況や後継者と先任者の意思、今後の動向など複数の要素を勘案し、総合的に判断するしかない。
だが、企業の存続を願うのであれば、現経営者と後継者は見解を明示し、互いに納得し合うことはもちろん、従業員の意見も聞きつつ理解を得ることが不可欠だ。
組織の命運にかかわる人間が、完全な同意は難しくても意見を衝突させつつ研磨させ、すり合わせながらある程度の一致をみなければその組織は立ち行かなくなる。
したがって、事業承継を考える際には、会社の資産をどう処理するかを問うほかに、そもそも当事者はどう考えているのかを伝えあうという作業も決しておろそかにしてはならない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150228-00000005-withnews-bus_all