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2015.05.03
 

「放っておくと後が怖い、相続登記①」

田舎の一軒屋

 

被相続人が亡くなると、その財産は基本的に遺族が分け合うことになるが、その中で処分に困るのが不動産だ。

現金のようにきっちり均等に分けることは難しく、かといって換金してしまえば遺族の住む家が亡くなる。

また、たとえ売ることに決まったとしても、買い手がつかないこともありうるし……と、悩みの種は尽きない。

だが、ここで見落とされているのは、相続登記にかかわる問題だ。

相続登記とは、不動産の名義人が亡くなった場合に、相続人に名義を変更する登記のことをいい、大切な手続きではあるのだが、いつまでに行うべきという期限は定めておらず、行わなくてもペナルティは特にない。

そこで、特に専門家の力を借りずにご自分で相続を行う方などには忘れられがちなのだが、この手続きないがしろにすると、後で手痛いしっぺ返しを食らうことになる。

次の事例を見てほしい。

 

父親が亡くなり、遺産相続をすることになった保険会社のK氏は、故人の財産を調べる中で、はたと行き詰まってしまった。

それは、父親が住んでいた家の権利者を調べようと登記事項証明書(ある土地の正確な所在や地積、所有者について書かれた記録。法務局で発行してもらうことができる)をめくっていた時のことである。

父の生前、彼のほかに権利を主張する人はいなかったので、てっきり所有者は一人だけだと思っていた。

しかし、登記事項証明書のどこを探しても父の名前は見当たらず、あるのは何十年も前に、K氏の祖父(既に他界)が、とある農家から現在K氏の実家となっている場所の土地を買い取り、そこに宅地を立てたという記録のみ。

そしてそこには共有名義として、祖父のほかにK氏が聞いたこともない男(M氏とする)の名が記されていた。

つまり、K氏の父親は、自分の親から土地を受け継ぐとき相続登記を怠ってしまい、自宅となっている土地の権利関係を手つかずの状態にとどめてしまったのだ。

そこで、土地は連絡先も何もわからない人物とK氏の祖父の共有名義のまま放置されてしまっていた。

 

最初、K氏は当惑したものの、特に問題があるようには思わなかった。

たしかに実家の持ち主が自分の家の人間だけでないのには驚いたが、M氏の家の連絡先はわからないばかりか(登記事項証明書に書かれている住所は、すでに人手に渡っていた)これまで何の連絡もない。きっとこの不動産のことなど忘れているのだろうし、それなら自分の家の所有物としてしまっても問題なかろう、そう考えたのだ。

 

だが、そこに落とし穴が潜んでいた。